ここでは、加工品のひとつである、函館こがね・イカの塩辛を例として製造工程を紹介します。

 

 



函館特産食品工業共同組合では、水産加工場で排出される加工残滓から、バイオの力を利用した天然発酵調味料を製造する技術開発に取り組んでいます。加工残滓と言っても、これは海からの恵みである大切な資源です。地球環境保護の展からも無駄にすることはできません。
最初に目を付けたのは、イカゴロと呼ばれるスルメイカの内臓です。函館近郊はスルメイカの加工が盛んで、年間1万トンものイカゴロが有効利用されずに残滓として排出されています。しかし、イカゴロはイカ塩辛を作る際に旨味を持っていました。イカゴロに含まれるタンパク質分解酵素がたんぱく質からグルタミン酸やグリシンなどの旨味アミノ酸を作り出したのです。イカから作った醤油だけに、イカ料理との相性はよく、煮物などの調味料加熱品には、特有の香りが付加され、独特の風味を醸し出す特徴があります。


次に取り組んだのは、水産物から味噌を作る技術開発です。味噌は蒸した大豆から作られますので、水産物から味噌というと少し奇異に感じるかもしれませんが、果敢にチャレンジしました。魚のアラやイカのスソ肉、ホタテのヒモなどを蒸して、食塩と米麹、酵母菌を加え、よく混ぜた後に、樽に入れ、上から重石を載せます。数ヶ月間の熟成の後に開封してみたところ、酵母菌が米麹から作り出したアルコールの風味が、原料の水産物と良くマッチしたペーストが出来上がりました。この魚味噌(ぎょみそ)とも言うべき試作品は、そのままでも美味しいものですが、大豆味噌と合わせて、みそ汁やなべに使うと、独特の味の深さを演出する発酵食品です。
これらの魚醤油や魚味噌は、函館産の水産加工品の隠し味として、原料の美味しさをより強く演出するための製造方法の開発を目指して、さらなる研究を重ねています。函館発の”美味しさ”の引き立て役として、このような発酵調味料が活躍する日が近いことと思います。(函館いか読本より)

 

 

 


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